「居場所を求めて」 　私が生まれる前から父が借金を重ねて、母はその返済に頭を悩ませ絶えず私は不安定な環境の中で生活して来ました。 　いつか、両親は別れてしまう・・・・・といつも不安でした。そんな生活が１３歳の夏に私達の住む家を手放すと同時に父と母の離婚で終わりが来たのです。不思議とその時は父と離れて生活する事よりせっかく新築にした家が人手に渡ってしまう事の方が悲しいという気持ちでした。それは、父と離れて生活する辛さがまだ実感できてなかったのだと今はわかります。どこかで、父が立ち直って戻って来ると信じていたとも今は感じます。 　私の中で何かが弾けてしまったのは、１５歳の時の母の再婚です。表面上は、賛成したもののとても私には辛い事でした。その気持ちを素直に母に伝えられず「私だけの家庭を自分で早く作る」と決心して私の心はさまよい始めました。中学までは勉強と部活動に専念していましたが、高校に入学と同時に勉強は余りしなくなり部活動はそこそこにやっていたものの私だけの家庭を作るにはパートナーが必要と思い年上の男性との交際が私の生活の中心になっていきました。 　しかし、その頃すでに軽い鬱にもかかっていた様で感情の起伏が激しく何をしていても空しい気持ちでいっぱいで高２の秋に遺書を残して江ノ島に家出をしました。夜の海に出てみても本当に死ぬ気にはなれず、ブラブラしていると大学生ぐらいの男性に軟派されその人の家に着いていきました。運の良い事にそこの家で男性のお母さんが私の様子がおかしいのに気づいて、温かいご飯を用意してくれ一晩黙って泊めてくれました。寝る前に私には何も聞かず「おばさんも、死にたいと思った事があったよ。」と一言言ってくれ一晩黙って泊めてくれました。寝る前に私には何も聞かず「おばさんも、死にたいと思ったました。次の日には電車賃をくれて家に帰るように言ってくれました。 　短大生活を終え、少し希望とはずれましたが小田原の養護施設に住み込みで就職をして希望に満ちていました。しかし、そこでも思わぬ事件が待っていました。職場の先輩とお付き合いをして、私は彼と結婚したいと思っていたのですが彼の母親が宗教の教祖という事で私と彼の間に立ちはだかりました。彼もマザコンで４年間付き合った末「俺はお袋をとる」の一言で私たちの付き合いを終わらせたのです。その頃はかなり見えない世界の事でマインドコントロールされていた私は精神病院に措置入院する程におかしくなっていました。夢と希望に燃えてのスタートが見事に崩れ去り、入院と共に職も失った私は実家に帰るしかなったのです。実家に帰った私は、完全にひどい鬱病になり睡眠薬を大量服薬し自殺を図りました。しかし、一命をとりとめもう死ぬ事もできないとわかった私は、再び養護施設に二年のブランクを経て再就職しました。 　仕事には戻れましたが、心にはポッカリ穴が開いている感じが常にあり、高校の頃に思っていた「私だけの家庭」探しをしはじめました。そんな不安定な気持ちでは良いパートナーを選べるはずもなく、旅先で出逢った薬物依存、アルコール依存の元夫と急ぐ様に結婚しました。問題のある元夫を立ち直らせる事に私の全てのエネルギーを使い身も心もそして経済的にもボロボロになった私は再び精神科にお世話になる事になり、ドクターや義父と母、妹の力を借りてやっと離婚をして自己破産をしました。 　もう私には何も残っていないという悲しみと空しさを埋めるために、私はパチンコ台の前に座り始めました。その時に得た「全ての感情を忘れさせてくれる」魅力に、あっという間にとりつかれ気がつくと朝から並んでパチンコを打つ様になっていました。もうそうなったら、コントロールはきかなくなるのは早かったと今振り返ると思います。しかし、はまっていた頃は「私は大丈夫」と思い込んでいました。勝つ事に熱中しくる日もくる日もパチンコ台の前に座っていました。その内に、勝っただけでは気が済まず一日中パチンコをしていたいと思う様になっていました。生活保護でくらしている身でありながら、パチンコに使うお金は一日万単位でした。途中からこんな生活をしていたら私は駄目になると思っても、パチンコ屋の前を通ると「今日は大丈夫」と気が大きくなり又何万と使うという生活が続きました。最後は、どうしてこんな事のなってしまったのだろうと言う気持ちもなくなり、ただひたすらパチンコ台の前に座り打ち続けていました。そんな私を見かねて、今もお世話になっているクリニックの仲間が迎えに来ても止める事ができずかなり仲間を心配させました。母や妹もパチンコにのめり込む私を何とか止めさせ様といろいろ提案を出してくれましたが、どうにも止める事ができませんでした。そんな時、今の主治医に出会い「お前は今ボロボロのカステラと一緒でこのままだと、崩れて粉々になるぞ」と言われやっと止めてみようと思ったのです。 　しかし、一人で止める事は出来ず、当時ＧＡの存在を知らなかった私はＡＡのミーティングに参加する事によって「今日一日」やらないという生活をやってみたのです。そして８ヶ月パチンコから離れた生活をした時ＧＡに巡り会えました。その当時はまだ女性の仲間が少なく今私のスポンサーとなってくれている仲間と私の他に２～３名しかいなかった様に思えます。でも、あんなにさすらっていた私の心は不思議と穏やかになっていったのです。私の居場所がやっと見つかったと思いました。